Kさんの日記

アラサー男のつぶやき部屋をようこそ

夢か現実か

「ガチャ」

「バタン」

寝室から聞こえたのは、誰かが玄関のドアを開けただろう、そんな音だった。

私は起きてるでもなく寝てるでもない夢の狭間にいるような感覚の中で、その誰かを考えた。

そして、その誰かを瞬時に察した。

「嫁さんか」

嫁さんは子どもを連れて実家に帰っていた。

不仲ではない(強調しておく)が、子育てはいろいろ大変だ。

私がいないときは実家に助けてもらうことが多い。

ワガママ放題の小さい身体は部屋を走り回り、泣きまくり、汚しまくり、叩きまくる。

そんなのを相手に家事もやらなければいけないのは、考えただけでも気が滅入る。

なにやらバタバタしている中で私もようやく現実に戻ってきたので、布団から出て階段を降りた。

「おはよう」

降りた先には嫁さんがいた。

「掃除とかしに帰ってきたよ」

そう言った嫁さんの手には、なにやら白い紙袋があった。

「これあげる」

渡された紙袋の中を見ると、そこにはかわいい包装紙に包まれた四角いものがあった。

「今日はバレンタインデーだからね」

そうか、チョコレートか。

チョコレートが特別好きではないが、やはり嬉しいものだ。

「ありがとう、仕事から帰ったら食べるよ」

時は進み、仕事から帰った私。

「ふー、疲れたな。お、そういえばチョコレートがあったから食べようか」

ルンルンで冷蔵庫に手を伸ばし、扉の先の冷たい空間にある四角いものを探した。

「ん?あれ?…あれ?」

ない…そこにあるはずのものがない。

「…まさか食べられた?」

そんなはずはない…あれは私がもらったもの。

あげた本人が食べるなんてそんなこと…。

そんなことを考えていると、嫁さんが起きてきた。

「おかえり」

私はすぐにチョコレートのことを聞いた。

「え?誰があんたにチョコレートなんか渡すの?バカじゃない?」

そう言う嫁さんの顔がどんどん崩れていく。

なんだ…何が起こってるんだ…。

私はパニックになりながらも、必死で嫁さんを揺らし続けた。

嫁さんの顔はすでにかつての面影がなく、まるで…まるで…ん?

なんか工藤静◯みたいになった。

「嵐を起こすわよ」

「ハッ!」

そう嫁さんが言った瞬間、私は思い切り目を開いていた。

…そこはベッドの中だった。

…なんというよくわからん夢笑。